物理基礎
物 理
千歳科学技術大学 理工学部
一般学力入試 Ⅰ期 問題
1.
次の文章を読み,有効数字の桁数に注意して以下の問いに答えなさい。(実験1)
質量 16.0 kg,一辺 0.200 m の均質な立方体に糸が取り付けられており,その糸を鉛直上方に引っ
張りあげて実験を行った。重力加速度の大きさを 9.80 m/s2として,以下の(1)∼(3)の問いに
答えなさい。
(1)図1のように,水平な床の上に立方体を置き,糸を 100 N の力で引っ張りあげたところ,立方
体は静止したままであった。このとき,立方体が床から受ける垂直抗力の大きさ〔N〕を求め
なさい。
(2)(1)において,床が立方体から受ける圧力〔Pa〕を求めなさい。指数を使って答えを表してもよい。
(3)次に,立方体を密度 1.02 × 103 kg/m3の液体に完全に沈め,糸を引っ張りあげたところ,立
方体は図2のように浮き上がることなく液体中で静止した。このときの糸の張力の大きさ〔N〕
を求めなさい。なお,糸の質量および糸の浮力は無視する。
図1 図2
(実験2)
なめらかな水平な床の上にある,質量 2.0 kg の物体に伸びない糸を取り付け,静止した状態か
ら 8.0 N の力で水平方向に引っ張ったところ,物体は等加速度直線運動をはじめたが,動きはじめて
から 3.0 秒後に糸が切れて,その後物体は等速直線運動をした。以下の(4)∼(9)の問いに答え
なさい。
(4)糸が切れるまでの間の物体の加速度の大きさ〔m/s2〕を求めなさい。
(5)糸が切れた後の物体の速さ〔m/s〕を求めなさい。
(6)糸が切れるまでに力のした仕事〔J〕を求めなさい。指数を使って答えを表してもよい。
(7)物体が動きはじめてから 6.0 秒間に物体が移動した距離〔m〕を求めなさい。
(8)次に,静止した状態から,異なる力で糸を水平に引っ張ったところ,糸が切れることなく物体
は等加速度直線運動を続けた。6.0 秒間に移動した距離が 54 m のとき,糸が物体を引く力の
糸
床
立方体
立方体
液体
糸
2.
次の文章を読んで,以下の問いに答えなさい。電荷が導体中を移動すると電流となる。電荷の量を電気量という。単位はクーロン(記号 C)を用い,
時間t〔s〕の間に導体の断面をQ〔C〕の電気量が通過したとき,その導体に流れる電流の大きさ I〔A〕
は I = A と表される。導体が金属の場合,電流の担い手は X といわれる電子であり,
その流れの向きは電流の流れる向きと[ア:①同じ ②反対]である。
ある電気抵抗の導線の両端に電圧をかけて電流を流したとき,電圧を 3 倍にすると,電流は( a )
倍になり,消費電力は( b )倍になる。また,導線の断面が円であるとき,直径を 2 倍にすると,
電気抵抗は( c )倍になる。なお,長さと材質は同じとする。
次に,図1のように抵抗,スイッチ S および電源を用いた回路を構成した。電源の電圧をV〔V〕
とし,3つの抵抗の値は,R1 = R2 = R3 = r〔Ù〕とする。図中のようにスイッチ S が開いていると
き,点 A を流れる電流 I〔A〕はI = B になる。その後,スイッチ Sを閉じたとき,点 A を
流れる電流Iの大きさはスイッチ S を閉じる前と比較して C 〔A〕だけ[イ:①増加 ②減少]
する。スイッチ S が開いているときの電源が供給する電力は D 〔W〕であり,スイッチ S を
閉じるとその電力は( d )倍になる。
図1
(1)空欄 X に当てはまる語句を答えなさい。
(2)空欄A,B,C,Dに当てはまる式を答えなさい。なお,空欄AについてはQとtを,空欄B,
C,Dについては,rとVを用いて表しなさい。
(3)空欄a,b,c,dに当てはまる数値を答えなさい。
3.
次の文章を読み,以下の円運動に関する問いに答えなさい。なお,円周率は ð とする。(実験1)
図1のように,質量m〔kg〕の小球に長さ ß〔m〕の糸を付け,点 O を中心になめらかな水平面
上で等速円運動をさせた。円運動の周期がT1〔s〕であったとき,以下の(1)∼(3)の問題につ
いて,m,ß,T1,ð のうち必要な記号を用いて表しなさい。(4)については語句を答えなさい。
(1)小球の角速度を求めなさい。単位も書きなさい。
(2)小球の速さv〔m/s〕を求めなさい。
(3)糸が小球を引く力の大きさS〔N〕を求めなさい。
(4)糸が小球を引く力など,等速円運動には円の中心に向かう力が必要となる。この力を何という
か,適切な語句を答えなさい。
(実験2)
次に,同じ質量の小球を長さL〔m〕の糸につけかえて上端を固定する。図2のようになめらかな
水平面上で面から垂直抗力を受けながら等速円運動をしているとき,円運動の周期をT2〔s〕,糸が
鉛直方向となす角を è とする。重力加速度の大きさをg〔m/s2〕として,以下の(5)∼(7)の問
題について,m,g,L,T2,è,ð のうち必要な記号を用いて表しなさい。(8)については,文中で
指定されている記号を用いて表しなさい。
(5) 小球の加速度の大きさa〔m/s2〕を求めなさい。
(6) 糸が小球を引く力の大きさF〔N〕を求めなさい。
(7) 小球が水平面から受ける垂直抗力の大きさN〔N〕を求めなさい。
(8) 垂直抗力の大きさが,図1の実験1の場合の垂直抗力の大きさと比較して半分であったとき,
そのときの円運動の周期T3〔s〕をg,L,è,ð を用いて表しなさい。
L
θ
水平面 水平面
4.
次の文章を読み,気体定数をR〔J/(mol・K)〕として以下の問いに答えなさい。 なめらかに動くピストンのついた円筒容器にn〔mol〕の単原子分子の理想気体を閉じ込
め,右の図のようにAからB,BからC,Cか
らAの順で状態を変化させた。このとき,状態
AおよびBにおける気体の温度はそれぞれTA
〔K〕,TB〔K〕で あ っ た。 A か ら B の 過 程 は
( ア )であり,CからAの過程は( イ )
である。また,BからCの過程では,( ウ )
の法則が成り立つ。このように熱の吸収や放出
のサイクルにより,熱を仕事に変換する装置の
ことを( エ )という。
(1)上記の( ア )∼( エ )に入る言葉を次の①∼⑧の中から選び,番号で答えなさい。
① 定圧変化 ② 定積変化 ③ 断熱変化 ④ ボイル
⑤ シャルル ⑥ 熱機関 ⑦ 熱効率 ⑧ 熱循環
(2)状態Aでの気体の内部エネルギー〔J〕をn,RおよびTAを用いて表しなさい。
(3)AからBの過程で,増加した内部エネルギー〔J〕をn,R,TAおよびTBを用いて表しなさい。
(4)AからBの過程で,気体に加えられた熱量〔J〕をPA,PB およびVAを用いて表しなさい。
(5)BからCの等温線の過程について,正しいものを以下のⓐ∼ⓓの選択肢の中から一つ選び,
記号で答えなさい。
ⓐ 気体が外部にする仕事はない。
ⓑ 気体の内部エネルギーの変化はない。
ⓒ 気体と外部との熱の出入りはない。
ⓓ 気体の圧力の変化はない。
(6)CからAの過程で,気体が外部からされた仕事〔J〕をPA,VAおよびVCを用いて表しなさい。
(7)CからAの過程で,減少した内部エネルギー〔J〕をn,R,TAおよびTBを用いて表しなさい。
(8)CからAの過程で,気体が放出した熱量〔J〕をn,R,TAおよびTBを用いて表しなさい。 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5
0 2 4 6 8 10 12
V〔m
3
〕 P〔Pa〕
O
PB
PA
VA VC
等温線
A
C B